笑激の告白【文福部屋】

2年分「春」楽しめました

技能相撲の鶴竜が見事に大関昇進を決め、優勝決定戦で横綱白鵬が22度目の優勝を果たすという最高の盛り上がりを見せた春場所。昨年は中止だったが、2年分、楽しめた場所でした。何と言っても功労者は春場所担当部長の貴乃花親方。場所前から精力的でした。私も何度かお会いして、繁昌亭では終演後に落語家が法被を来てお客様をお見送りするなどのサービスについて話すと、目を輝かせて聞いてくださいました。
場所中は「平成の大横綱貴乃花」が午後2時から1時間、羽織はかまでロビーに立ってお客様を迎え、気さくにサインや写真撮影に応じるなど、そばで見ていて感動しました。その時間帯は、まな弟子の貴ノ岩が十両昇進に向けての土俵がある時なのに…。さらに横綱、大関はじめ関取衆も正面から場所入りさせたので、会場の大阪府立体育会館前はものすごい盛り上がり。元関脇土佐ノ海の立川親方は、おばちゃんをおんぶして2階席に案内するなど、温かい光景もみられました。ご当所大阪の豪栄道は「えーどー、えーどー、ごうえいどう」の大歓声に見事、こたえました。
そんな「大成功」の春場所に私はうれしいかかわりを持たせてもらいました。大阪よみうり文化センターさんの講座「春場所を訪ねる」の講師として、13日目には本場所観戦を私の解説、いや「怪談」付きで…。この日、私と同郷の和歌山県出身の海龍が幕下優勝して、2月に亡くなった天国の師匠(田子ノ浦親方=元幕内久島海)にささげた白星も涙が出ました。ほんま、ええ場所でした。

読売新聞(4月5日)大阪本社 夕刊カラー面「桂文福の一番太鼓」より